つれづれ通信 第57号 「一瞬の大切さ」
2025年12月05日
熱海にある「來宮(きのみや)神社」に行ってきました。
來宮神社は、来福・縁起の神として古くから信仰されており、パワースポットとしても有名です。
休日ということもあり、老若男女、日本人も外国人も多くの人が訪れていました。ちょうど七五三の時期でもあり、本殿では晴れ着姿の子どもたちの元気な声が響いていました。
その本殿の横にそびえるのが、大楠の御神木です。
樹齢二千年以上、樹高約二十メートル、幹の太さ二十四メートル──国の天然記念物にも指定されています。
青々と葉を茂らせる姿からは圧倒的な生命力を感じる一方、幹の一部は石のように硬化し、内部には空洞も見られます。長い年月のあいだに幾多の苦難を乗り越えてきたことが伝わってきます。
二千年前の日本は、弥生時代。
ようやく稲作が始まり、鉄や青銅が中国や朝鮮半島から伝わった頃です。その後、古墳時代、飛鳥時代、奈良時代…現代まで続く長い歴史を、この御神木はずっと見つめてきたのだと思うと、胸に迫るものがあります。
そう考えると、人の一生など、ほんの“まばたき”のようなものかもしれません。
丸浜の長い歴史ですら、この御神木から見れば、その二百分の一ほどの時間しか経っていません。
だからこそ、私たちは人生の一瞬一瞬を大切に、精一杯生きることが大事なのだと、この御神木が教えてくれた気がしました。
この日も、多くの参拝者が長寿・健康を祈りながら幹のまわりをぐるりと回っていました。私もそのひとりとして、静かに手を合わせました。
テレビでドジャースのワールドシリーズ優勝を見ながら、一瞬一瞬にすべてを出し尽くす選手たちの姿に心を打たれました。
大楠の御神木から感じた大いなる気と、彼らの全力の姿が重なり合い、また新しい一歩を踏み出す力をいただいたような気がします。

