つれづれ通信 第47号 「九州研修の旅」

2025年09月25日


先日、九州に行ってまいりました。

 

「人を大切にする経営学会」の企業訪問で、鹿児島・宮崎・福岡の全7社を3泊4日で回るという行程です。
いずれの会社さんも「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞を受賞されている企業です。
なかなかの強行軍ではありましたが、企業訪問でしか得られない“肌感覚”はとても貴重で、大きな学びとなりました。

総じて感じたのは、どの会社さんも「一人ひとりがかけがえのない存在である」ということを、何よりも大切にしているということです。
社員のしあわせを第一に考え、その力を信じ、尊厳をもって向き合っている。
そしてその姿勢を前提としながら、しっかりと利益を出しているという点でした。

訪問先のひとつに「(株)障がい者つくし更生会」さんがありました。
福岡県大野城市は、一般廃棄物処理施設の運営をすべてこの会社に委託しています。ここで働く社員37名のうち、32名が障がいのある方々です。
多くの方が肢体不自由や発達障害、精神障害などを抱えていらっしゃいますが、皆さん本当に生き生きと働かれていて、清々しさすら感じました。

 

その中で、耳の不自由な方が私たちに鉄とアルミの分別方法を説明してくれました。
捨てられた鍋など、判別が難しいものはハンマーで叩いた音で区別するのですが、彼は耳がほとんど聞こえません。代わりに腕に伝わる振動で判断しているそうです。
たどたどしくも精一杯綴られた言葉は、私たち20名全員の胸に深く響きました。

驚いたのは、ここでは障がい者の方が健常者より良い成果を出すことが少なくない、ということです。
それは、この仕事に懸ける真剣さが、健常者をも上回っているからだと感じました。

 

一人ひとりがかけがえのない存在であること――。
その意味を改めて考えさせられた、九州研修の旅となりました。