つれづれ通信 第45号 「銚子電鉄」
2025年09月18日
いよいよお盆休み。この暑さでくたびれた体をいたわってあげてください。
みなさんは「銚子電鉄」をご存じですか。
正式名称「銚子電気鉄道株式会社」は、千葉県銚子市を走る全長6.4kmのローカル鉄道で、銚子駅~外川駅を結ぶ小さな私鉄です。
大正時代から続いていますが、経営難から自ら「鉄道会社なのに鉄道事業が副業」と自虐し、「ぬれ煎餅」や「まずい棒」など、鉄道以外のユニークな商品販売していることで有名です。
今回、10月に山梨同友会で講演をいただく同社の竹本勝紀社長と、事前打ち合わせをしてまいりました。
JRにて銚子に到着して早々、路線を往復しましたが、どうしてここにわざわざ鉄道を敷設したのかと思うほどの短さ。
2両編成の古風な電車に乗っている人のほとんどは、土曜日の昼下がりということもあってほぼ観光客ですが、車内にぱらぱらといった感じ。
後でわかりましたが、一日の平均乗車数は千人程度と大変厳しい路線です。
訪れた本社は銚子駅のとなり駅、仲ノ町駅に併設された小屋でした。
経営姿勢は「電車を守るためなら手段を選ばず」です。鉄道事業+グッズ販売+イベント運営で存続を図っています。
売上の大半が鉄道事業ではなくぬれ煎餅や関連商品。
煎餅だけでなく怪談イベント、心霊列車、婚活列車など、メディアを駆使し、鉄道会社らしからぬありとあらゆる企画を展開。
銚子電鉄が自らの厳しい経営状況をネタにして使っている呼び名が「崖っぷち鉄道」。
設備の老朽化、乗降客の減少、過去には脱線事故、前社長の横領事件などがあり、残り資金が50万円になったこともあったそうです。
竹本社長はそのユーモアセンスで苦境を笑い飛ばし、その不屈の精神は半端ではありません。
昭和の匂いしかしない、きしむような小部屋で、竹本社長から2時間半、熱い話が止まることはありませんでした。
銚子電鉄は大正12年に銚子遊覧鉄道として開業。
地元の有力者や漁業関係者が、馬車で行き来する不便を解消するため「鉄道を敷いて港と町を結び、観光客も呼び込もう」と発案したのがきっかけ。
時代は移り変わり、当初の役目は遠い時代となりました。
それでも銚子電鉄は地域はもちろん、全国に多くのファンが存在し、愛され、多額の寄付金も寄せられているといいます。
ローカル線の廃止が止まらない中、あらゆる制限を超えて時代に合わせて生き抜いていく姿は、感動的ですらありました。