つれづれ通信 第31号 「灯台巡り」
2025年05月26日
私の趣味に「灯台巡り」というものがあります。
そう、岬なんかに立つ、あの灯台です。
風光明媚な場所に立つ大きな灯台は、観光名所になっていたりして、皆さんも訪れたりしたことがあるでしょう。
でも趣味なので、そうでないところも足を運びます。
日本で「灯台」と称されるものは3000基以上あります。
その多くは特性上、へんぴな場所や離島にあるものも多く、なかなか行くのが大変です。
灯台守がいたのは遠い昔の話。
今ではほとんどが無人化されたので、そこまでの道はほとんど整備されていないと思ったほうがよく、アプローチも手探りです。
行く手を暴力的に阻む背の高い草木や、恐怖のスズメバチ、おぞましい蜘蛛、気味の悪い蛇。
しかし何よりも一番の脅威は熊です。
昨今の出没回数の激上がりから、山中に分け入るようなルートしかない灯台は、怖くて行けなくなりました。
なぜ灯台が好きなのか、とよく聞かれます。
よくわからないのだけど、「孤高」という言葉が浮かびます。
人知れずそこに立ち、ほめられもしないけど、間違いなく誰かの役に立っている。
それ、かっこよくないですか。
苦労して灯台にたどり着いた時、「待っていましたよ」と灯台の声が聞こえるような気がします。
そんな声がまた聞きたくなって、出かけてしまうのかもしれません。
なんだか私たちの仕事も、灯台に似ていませんか。
人知れず、でも間違いなく、誰かを支えているところが。