水害からみんなを守る!流域治水の考え方

2025年05月16日


みなさんこんにちは!最近急激に暑くなってしまい、夏本番が目と鼻の先まで来ていると思わせる日が続いていますね。
夏になると猛暑は当然のことですが、台風や大雨のシーズンに突入します。
一昔前に「ゲリラ豪雨」という言葉が定着したかと思えば、ここ数年では「線状降水帯」という新たな集中豪雨に関する言葉もすっかり定着してしまい、進路を予測して事前に身を守れる台風とは違い、いつなんどき私たちの地域が水害に襲われるか予想がつきにくくなってしまいました。

今までは、堤防を築いて川の氾濫を食い止めるという形で水害対策をとっていましたが、今、新たな水害対策が生まれているのを知っていますでしょうか。

その名も「流域治水」

堤防を築くことで生まれた課題を解消した新しい考え方です。今回は、流域治水という水害対策についてご紹介いたします。

 

今までの水害対策はもう通用しない!?

まず、堤防を築くことで生まれる課題とはなんでしょうか。堤防はまさに水害の時に効果を発揮して、住民の安全を守る水害対策の要になっています。

ですが、逆に水害の無い時はどうでしょう。晴れている日、曇りの日、雨だけれど水害が発生するほど豪雨でも無い日。近年豪雨が多くなったとは言え、一年を通して活躍する日は限られてきます。一度築かれた堤防は、強度を維持させるために継続的な護岸工事等が必要で、莫大なコストがかかる点が課題でした。

また、ここ最近は異常気象により堤防が決壊してしまうことも珍しくありません。これは堤防が過去の降水量のデータを下に高さを設計しているためです。過去(堤防を築いた時)には予想もしていなかった大雨が降るようになってしまったということです。
じゃあ堤防を高く設定すれば良いでしょう。となりますが、極端な話堤防を高さ100mにしたら水害は間違いなく防げる一方、違う問題が山積みになることは容易に想像できます。

堤防を高くしたらその分コストもかかり、景観も損ね、日当たりは悪くなり、と問題は山積み。でも低くしたら決壊の危険性が上がる。そして常に維持費がかかる、堤防だけでは昨今の異常な水害に対応できなくなってきました。

 

今までの問題を解消する!流域治水の考え方

そのような問題を解決する上で生まれたのが流域治水のという新たな水害対策です。

出典:流域治水の推進 - 国土交通省水管理・国土保全局

 

流域治水とは、堤防やダムだけに頼らず、集水域(雨水が河川に流れ込む地域)から氾濫域(もし河川が氾濫した際に浸水が予想される地域)をひと塊として水害対策をしよう、という考えです。
今までは「氾濫を食い止めよう」ばかりに注力をしていましたが、これでは限界があります。

これからは「氾濫を食い止めよう」にプラスして「氾濫した時の被害を最小限にしよう」「氾濫しても最短で復旧できるようにしよう」という、氾濫した後のことも考えるようになりました。今までの水害対策で活躍したダムや堤防はそのままに、それらが氾濫しても大丈夫な街づくりをしていくのが流域治水です。

考え方はお分かりいただけたかと思いますが、具体的にどうするのが流域治水による対策なのか。

具体的なことを全て伝えると長くなってしまうので、私たち丸浜舗道にも関わりのあるものを紹介いたします。
流域治水のによる対策の一つが「遊水池、貯水池の新設」です。

もし堤防が決壊し氾濫したら、今まではそれが街中に流れ込んでしまい、甚大な被害を受けてしまっていました。
しかし、もし氾濫してもその水をうまく遊水池や貯水池など、水を溜められる場所に誘導できたら、街の被害は軽減されます。氾濫した水を入れる容器を作ってあげることで、仮に堤防が決壊しても大丈夫ということです。

しかしここで疑問が湧きます。

「そんな遊水域造れる土地がないけどどうするの?」
「貯水池も結局堤防と一緒で、豪雨の時だけしか活躍しないのでは?」

大丈夫です!流域治水は天気が良い日も活躍するのが特徴です。

というのも、遊水池を設ける場所(土地)が無かったら地域の屋外施設を遊水池にしてしまう、という方法があります。
その際たる例が公園や校庭です。普段は公園・校庭として利用でき、有事の際は氾濫した水流れ込む遊水池にする。そうすれば、普段も有効活用できますし、ため池専用に土地を使うこともありません。

国土交通省 水管理・国土保全局が作成した流域治水のロゴマーク

 

普段も有事も活躍するATTAC工法!

この「地域の屋外施設を遊水池にしてしまう」という手段の鍵となるのが、ATTAC工法なんです!

ATTAC工法とは、本来の土よりも水分を大量に吸収するという特徴を持った土を使った工法です。本来の土よりもATTAC工法で使用される土の方が、土の一粒一粒に細かい隙間がたくさんあり、そこに水が入り込む仕組みになっているので吸水力が本来の土よりも高いのです。
本来の土よりも水分を吸収するということは、以前だったら氾濫していたかもしれない降水量でも、水分の許容量が大きいATTAC工法なら氾濫しないということ。流域治水の考え方にしっかりマッチした工法なのです。

そして何より、ATTAC工法は私たち丸浜舗道でも施工実績がございます。なので今回取り上げさせていただきました!
近々ATTAC工法に関する記事を公開予定となっております!

 

さいごに

もうすぐ6月。梅雨のシーズンに入り、豪雨や台風など、水害が猛威を振るうシーズンに入ります。流域治水の考え方には皆様の意識も含まれていることを最後にお知らせいたします。「堤防があるから大丈夫」「100年に一度の降水量なんて不安を煽っているだけ」そう考えず、ハザードマップを確認し、備蓄品を常に揃えておくなど、いつ何が起きても自分の被害や家族の被害を最小限にできるよう普段から心がけげください。